日本真空光学株式会社の赤外線ディテクタ用光学ウインドウが「はやぶさ2」に搭載された小型着陸機「MASCOT」に使用されました。
「はやぶさ2」は小惑星リュウグウを探査し、サンプルを地球に持ち帰ることがミッションになります。地球の水の起源や生命の原材料となった有機物の起源の謎に迫ると期待されております。そして2020年12月にサンプルリターンを成し遂げ、地球を再出発しました。
この「はやぶさ2」に搭載されてリュウグウに向かい、地表の物質や物性の科学的観測を行ったのが小型着陸機「MASCOT(Mobile Asteroid Surface Scout)」となります。
図1 「はやぶさ2」のイラスト 左側面にMASCOTが格納されている (画像クレジット:JAXA)
「MASCOT」は、DLR(ドイツ航空宇宙センター)とCNES(フランス国立宇宙研究センター)によって開発された小型着陸機です。2018年10月3日に「はやぶさ2」より分離し、6分間の自由落下で小惑星リュウグウに着地しました。
大きさ30 x 30 x 20cm(立方体)・重量10㎏程の「MASCOT」は自律してリュウグウ上を移動して、約17時間にわたり複数の場所で観測を行い、ミッションを終えました。
「MASCOT」の底面には赤外分光顕微鏡「MicrOmega」が実装されており、0.9µm~3.5µmの赤外線で、表面の鉱物の種類や物性を調査しました。「MicrOmega」にはLYNRED社製(https://lynred.com/)の赤外線ディテクタが使用されており、この赤外線ディテクタに当社が製造した光学ウインドウが採用されました。
図2(左)「はやぶさ2」から分離するMASCOTのイラスト,(右)リュウグウに着地したMASCOTのイラスト(画像クレジット: JAXA)
当社の光学ウインドウは、熱サイクルに対する優れた耐久性と、0.9µm~3.5µmまでのブロードバンドにおいて反射率を抑制したARコーティングによりリュウグウ表面の撮像に寄与しました。当社が製造する光学ウインドウは、任意の波長帯域で、優れた熱耐久性、高い光透過性、高耐光性などの特徴を有し、更には側面を含む外周部にパッケージ封止用のメタライズが可能で、宇宙・大気計測・セキュリティなど幅広い分野に使用されております。
図3 日本真空光学株式会社が製造する赤外線ディテクタ用光学ウインドウの画像